PCBに触ったらどうなる?危険性と被害の症状| ダイオキシンとの関係

PCB処理分析


PCBは触れるだけで人体に害を及ぼす危険物です。この記事では、PCBによる人体への影響、過去の油症事件、ダイオキシンとの関係性をわかりやすく解説します。


処分期限も迫っており、正しい知識と対応が必要です。心配な症状がある場合は、自己判断せず早めに医師・専門機関へご相談ください。


PCBに触れてしまった、または体調に異変がある場合:この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。


個別の症状については必ず医師の診察を受けてください。事故が発生した場合は、PCB廃棄物の保管場所を管轄する都道府県知事または政令市長への届け出も必要です。


PCBに触れた場合の応急処置

PCBは人体に有害であるため、万が一接触してしまった場合には、正しい応急処置を行うことが重要です。


東京都環境局の公式サイト「PCBの飛散等による事故が発生したときの措置について」には、事故発生時の対応方法、応急処置の方法、事故届の提出先・連絡先が掲載されています。ご相談前に必ず最新の内容をご確認ください。


皮膚に付着した場合 植物油(オリーブ油・椿油など)を脱脂綿につけて軽く拭き取り、その後石鹸でよく洗浄する
口に入った場合 直ちに吐き出し、水でうがいを繰り返す。その後、必ず医師の診察を受ける
眼に入った場合 すぐに大量の水で洗眼し、医師の診察を受ける
蒸気を吸入した場合 新鮮な空気の場所で安静にし、体調に異変があれば医療機関を受診する


※上記は一般的な目安です。具体的な処置の詳細(洗眼時間や薬剤の濃度など)は、必ず東京都環境局の公式ページや医師の指示を優先してください。


事故が発生してしまったら:PCB廃棄物の保管場所を管轄する都道府県知事、または政令市長に事故の届け出を行う必要があります。東京都の場合は東京都環境局「PCBの飛散等による事故が発生したときの措置について」のページをご確認ください。
それぞれの都道府県の最新情報はこちらからどうぞ>>

PCBが日本で問題になった「カネミ油症事件」

カネミ油症事件の主な症状(1.顔面などへの色素沈着、2.肌が黒くなるなどの異常、3.頭痛、4.手足のしびれ、5.肝臓の機能障害)の図

カネミ油症事件:1968(昭和43)年に起こった事件


カネミ倉庫株式会社ではこめ油、こめぬか油のような食用油を生産していました。その食用油を製造する過程に脱臭がありました。脱臭のための熱媒体として、PCBが利用されていました。


しかし、配管作業のミスで、PCBが漏れ出てしまいます。漏れ出たPCBが油の中に混入し、熱されてダイオキシンが発生。ダイオキシンが含まれた食用油を摂取した人々に、障害が起きました。


カネミ油症事件での具体的な症状
  • 顔面などへの色素沈着
  • 肌が黒くなるなどの異常
  • 頭痛
  • 手足のしびれ
  • 肝臓の機能の障害


中毒症状を起こした女性から産まれた赤ちゃんが、黒いあざをともなっていたことはニュースなどで大きく取り上げられました。


カネミ油症事件の被害者は、摂取した人々だけでなく、子世代、孫世代においても広がっています。事件発生後、40年経過しても被害者に対する補償の法律はありませんでした。しかし、42年経った2012年9月、やっとこの事件の被害者に対する法律が制定・施行されました。


カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律


また、 人体への影響が表面化する前に、PCBの含まれた油を使用した餌を食べたニワトリが大量死するなどの事件も起こっていました。


現在もカネミ油症の患者の方に対して、健康実態調査の実施が行われ、健康調査支援金の支給も行われています。(カネミ油症対策について - 厚生労働省)

PCBの歴史

PCBはいつごろできた?

881年にドイツで合成されたのが始まりです


1881年 ドイツで合成される
1929年 アメリカで生産が開始
1954年 日本で製造開始
1968年 カネミ油症事件が発生
1972年 行政の指導で、生産と使用が中止
1979年 台湾で油症が発生
1999年 ベルギーでダイオキシン汚染が発生
2001年 PCBを2028年までにすべて廃棄する国際条約が締結(ストックホルム条約)


PCBは世界でどんな影響を及ぼしたか?

台湾やベルギーでも汚染被害がありました。PCBなどの残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)で国際的にもPCB処理が推進されています。


台湾の事例


台湾でも油症が発生したり、広範囲の動物からPCBが検出されたりしました。


1979(昭和54)年、台湾でも日本と同じく食用油にPCBが混入し、それを摂取した人々の間で健康被害がおきました。おおよそ2000人もの被害者を出し、責任者3名が刑事罰を受け、日本円で約3億円の賠償金の請求がされました。


ベルギーの事例


1999(平成11)年にはベルギーで大規模な汚染被害がありました。こちらも食用油に混入したPCBが熱され、ダイオキシンになったことが原因です。


ベルギーダイオキシン汚染問題で被害を被ったのはニワトリやブタ、ウシなどです。家畜に与える餌にダイオキシンが含まれており、その餌を食べた家畜の卵や肉、乳製品にはダイオキシンが含まれていました。

PCBとダイオキシンの関係性

PCBが適切でない方法で熱されると、ダイオキシンが発生します。PCB廃棄物の処理方法の一つに焼却がありますが、これは800℃以上の高温で一定時間熱して処分する方法で、適切に処理することでPCBは無害化されます。


逆に、適切に処理されない場合はダイオキシンが発生してしまいます。1968年のカネミ油症事件も、漏れ出たPCBが油の中に混入し、熱されてダイオキシンが発生したことが原因でした。


PCB廃棄物を保管する際に「機器が熱されないようにする」という注意点があるのも、この危険性を防ぐためです。


PCB廃棄物の保管時の注意点についてはこちら>>

ダイオキシンについて

ダイオキシンとは、長期的に摂取し続けると健康被害が出る毒物の総称で、正確には「ダイオキシン類」といいます。


ダイオキシン類の代表例


  • ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(略称PCDD)
  • ポリ塩化ジベンゾフラン(略称PCDF)
  • ダイオキシン様ポリ塩化ビフェニル(DL-PCB)


ダイオキシンの特徴
  • 常温では無色の固体
  • 蒸発しにくい
  • 水に溶けにくい
  • 脂に溶けやすい
  • ほかの物質とは反応しにくい


ダイオキシンを摂取し続けると、体重減少、胸腺(リンパ器官)の萎縮、肝臓・心筋の障害、性ホルモンや甲状腺ホルモンの異常、皮膚の黒ずみ、学習能力の低下などが報告されています。


発がん性物質であることも知られています。少量を一時的に摂取しただけですぐに症状が出るわけではありませんが、定期的な摂取は危険です。また、長期的な摂取による毒性が次世代に影響し、先天的な障害につながる可能性も指摘されています。


現在の日本ではダイオキシンへの対策が進んでおり、重篤な症状が出るほどのダイオキシンが排出されることは通常ありません。ただし、もし気になる症状が出た場合は、自己判断せず、すぐに医師にご相談ください。

こんなご相談が寄せられることがあります

当サイトには、お見積りのご相談のほかに、「清掃作業中に、古いPCB機器の周辺にあった手袋・ティッシュ・スポイトなどに触れてしまい、体調に不安がある」といったご相談のメールが寄せられることがあります。


質問サイトなどを見ても、機械の種類や状況は異なるものの、同じような不安の声が複数投稿されています。


PCBに触れてしまい、めまいや頭痛などの体調不良を感じています。どこに相談すればいいですか?

まずは医療機関を受診してください。そのうえで、PCBそのものについて詳しく知りたい場合は、環境省 水・大気環境局総務課ダイオキシン対策室(TEL:03-3581-3351(代表)/03-5521-8291(直通)、メール:dioxin@env.go.jp)に問い合わせる方法があります。


また、お住まいの都道府県ごとに医療安全相談の窓口やPCB廃棄物の担当課が設けられていることが多いので、あわせて確認することをおすすめします。


当サイトはPCB廃棄物の処理に関する情報提供・ご相談を目的としたサイトであり、健康被害への対処法そのものをご案内する専門機関ではありません。


体調に異変がある場合は、自己判断せず速やかに医師の診察を受けてください。管理体制に疑問がある場合(本来立ち入るべきでない場所に立ち入れる状態になっていた、処理方法が不明瞭など)は、お住まいの都道府県のPCB廃棄物担当課にあわせてご相談されることをおすすめします。


お住まいの都道府県のPCB担当窓口はこちらから確認できます>>


「PCBを触るとどうなる?」と興味本位で聞かれることもありますが、興味本位で触れることは絶対に避けてください。世の中からPCBが無くなるその日まで、正しい知識を持って気をつけて生活する必要があります。


実際の相談メール写真(一部抜粋)

PCB,危険性,被害