PCB廃棄物の処分義務は、原則としてその廃棄物を保管している所有者が負うと法律で定められています。
特に、変圧器やコンデンサーなど古い設備には、PCBが含まれている可能性があり、適切な分析と処分が必要です。
期限(2027年3月31日まで)を過ぎても処分が完了しない場合は、罰則の対象となります。
一方で、国による助成金制度が始まり、費用負担を軽減できる仕組みも整いつつあります。処分義務の内容や具体的な流れを理解しておくことで、不要なトラブルや余計な費用を避けることができます。
本記事では、PCB廃棄物の保管・処分義務、その対応による罰則についてわかりやすく解説します。
まずは、変圧器やコンデンサーなどのPCBについて分析調査が必要です。この分析でも助成金が利用できます。
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使用中機器や保管中の廃棄物を調査。
所有するPCB廃棄物の種類・数量・保管場所を記載。
提出先:各都道府県の「環境部局」または「環境局」
提出様式:都道府県の公式サイトからダウンロード可
PCB廃棄物を保管している間は、毎年6月末までに保管状況届出が必要です。
PCB廃棄物を保管している事業者は、毎年度、そのPCB廃棄物の保管及び処分の状況に関して都道府県知事(政令で定める市にあっては市長)に届け出なければなりません。
なお、都道府県知事(政令で定める市にあっては市長)は、毎年度、事業者から提出された上記保管等の届出書について、PCB廃棄物の保管及び処分の状祝を一般に公表することとなっています。
届出を行わなかった者、また虚偽の届出をした者は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。
引用ページ:環境省「低濃度PCB廃棄物早期処理情報サイト」PCB廃棄物を保管する事業者に課せられる帰省
保管状況については、それぞれの都道府県のホームページや、県庁内のそれぞれの課で確認することができます。
画像引用元:環境省
詳細はこちらのリーフレットに掲載されています。ぜひご覧ください。
引用:九都県市首脳会議廃棄物問題検討委員会「 いますぐ調査を!低濃度PCB廃棄物はありませんか?」より
これらは廃棄物処理法の特別管理産業廃棄物保管基準にもとづいています。東京都環境局の『PCBの適正保管について』というページには、さらに具体的な対処の方法が紹介されています。
変更は可能ですが、勝手に変更することはできません。保管場所を移す場合は、事前に所轄行政(都道府県または政令市)の許可や届出が必要になります。
(※1)ステッカーは同じサイトで配布されていますが、適切な記載をしてあれば自身で作成しても構いません。
(※2)PCB廃棄物を保管している方は、その場所ごとに「特別管理産業廃棄物管理責任者」を立てる必要があります。詳しい方法は東京都環境局の「特別管理産業廃棄物とは」というページに掲載されています。手続きに入用な報告書や、その記入例も配布していますので、PCB廃棄物を保管している方は印刷して手元に置いておくといいと思います。
PCB廃棄物の処分義務は、原則 「PCB廃棄物がある建物を現在所有している人」です。
PCBは現在では有毒性が確認され、製造・使用・輸入を禁じられています。ですが、1972年に行政の指導が入る前は、一般に流通しているものでした。
そういった背景から、古いビルにはいまだにPCBの機器が使用されていることがあります。
本来ならばPCBが使用されている機器をビルごと売却するには手続きが必要ですが、PCBが使用されている機器とは知らずに売却されてしまうこともあります。
そのような場合でも、PCB廃棄物の処分義務はその建物を現在所有している方が負うことになります。
PCB廃棄物は譲渡することは原則的にできません。
ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成十三年法律第六十五号)から引用
(譲渡し及び譲受けの制限)
第十七条 何人も、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理に支障を及ぼすおそれがないものとして環境省令で定める場合のほか、ポリ塩化ビフェニル廃棄物を譲り渡し、又は譲り受けてはならない。
この条項は、PCB廃棄物を適切に処理する際に、環境省令で定められている場合(※)を除いて、PCB廃棄物を譲ることも受け取ることもできないということです。
(※)環境省令で定められている場合
「建物の売却等により、建物を他の事業者に譲り渡す際、建物に使用中のPCB製品が含まれている場合」のことです。この場合は、建物を売る側、買う側双方の届け出を提出することにより、譲渡が可能となります。
建物内に使用中のPCB製品がある場合はこういった法令もありますが、保管中のPCB廃棄物の譲渡は原則的にできません。
例えば、工事会社の方が「こちらで処分しておきます」と言われたからと渡してしまうと、譲渡になるので罰則となります。また、行政の認定を受けていない業者に処理を依頼した場合も譲渡になります。
早急にPCB濃度の診断を行い、処分することが必要です。
後々こまらないためにも、古い建物の売買をする場合はキュービクルや電気室などに変圧器やコンデンサーが設置されていないか確認して購入することをおすすめします。もし、PCB機器があった場合は、売主に所定の手続きを行ってもらいましょう。
もしも、まだ使っているものがある場合は、地位の承継である場合を除き、売主が廃止届出を、また買主が新たに設置等届出を行う必要があるため、PCBの専門家へ依頼されることをおすすめします。
より詳しい情報は環境省のホームページに記載があります。(環境省のよくあるご質問のページへ>>)
PCBは毒物ですので、人が簡単に触れられるような所に保管しておくのは厳禁です。鍵をかけることのできる倉庫や保管庫に置いておきましょう。
他の物質と交じり合うことで化学変化を起こしてしまう可能性があります。仕切りをつけたり、容器に入れて密封したりといった方法をとりましょう。
PCB廃棄物を含んだ油が熱されるとダイオキシン類が発生する恐れがあります。また、熱されることで揮発してしまうことがあります。そのような事態を防ぐため、温度管理には徹底的に気をつける必要があります。
PCBを含んだ油に一回触れただけで中毒症状を起こすことはありません。ですが、たびたび皮ふに接触してしまうと、体内にPCBが蓄積してしまいます。
体内にPCBが蓄積すると中毒症状が出てしまいます。
なので、そうならないよう、PCBが付着する可能性のある作業をする時は、使い捨てても構わない作業着を用意しましょう。そして、もしめまいや吐き気などの症状がでたら、必ず専門医に診てもらいましょう。
専門家のアドバイスを受けることで、スムーズに申請を進めることができます。
リジェンヌでは、お客様が補助金制度の対象となるかどうかを精査し、申請手続きまでサポートいたします。最適な処理方法を選ぶことで、補助金を受けられる可能性を高め、処理費用を大幅に削減できます。
一般的なPCB処理の業者が焼却処理であるのに対し、リジェンヌでは焼却でない洗浄処理を行っております。
洗浄方式では鉄・銅などの金属類は希少な資源にリサイクルされますが、焼却方式では全て800~1,200℃ほどの高熱で焼却するため金属類の資源価値が失われてしまいます。
環境への影響を最小限に抑えるための適切な処理方法を選択し、実施することができます。また、分別・分離を行うため、コストを抑えることも可能です。
PCB処理には令和9年3月31日までという期限があるため、期限間際に処理を行うと、費用が大幅に上昇する可能性があります。
関連記事:低濃度pcbの処理期限が過ぎたらどうなる?リスクまとめ
また、ドライバー不足や燃料費高騰により、PCB廃棄物の輸送コストが上昇。結果、処分費用も高騰し、企業の負担が増えることも予想されます。
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