【2025年最新】国助成金「低濃度PCB廃棄物の処理費用助成制度」まとめ

国補助金


PCB廃棄物の処理にかかる費用は大きく、多くの企業の負担になっていました。


2025年(令和7年)4月に環境省によって創設された「低濃度PCB廃棄物の処理費用助成制度」は国の助成金です。


国の助成制度を活用する方法、対象者、手順をわかりやすくまとめました。


特に、東京都では国と都の助成金の両方を使うことができるので、大幅なコスト削減につながると期待されています。



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国の助成金の内容

この助成制度は、低濃度PCBに汚染された廃棄物を令和9年3月末の処分期限までに適切に処理してもらうことを目的に、処理費用の一部を国が支援するものです。


対象となる方 


中小企業・個人事業主など、PCB廃棄物を保管している事業者


対象となる費用


  • PCB濃度の分析費用
  • 廃棄物の収集・運搬費用
  • 処分費用


など、処理にかかる費用の一部が助成されます


項目 内容
対象廃棄物 PCB濃度 0.5〜5,000 mg/kg の低濃度PCB廃棄物
受付期間 令和7年4月1日〜令和8年3月31日(予算次第で締切)
助成内容【分析費】 助成対象経費の2分の1の額。なお、1検体あたり10,000 円を限度額とする。
助成内容【処理費(収集・運搬)】 低濃度PCB 汚染廃電気機器192,500 円/台・小型機器・その他(ドラム缶)75,000 円/缶・小型機器・その他(ペール缶)73,500 円/缶
助成内容【処理費(漏えい防止措置】 50,000 円/台・式
主な制限 経費の上限設定がある(例:分析は1検体10,000円など)
対象者 中小企業、個人事業主、個人等

詳細はこちらの公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団の公式サイトをご覧ください。


公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団 低濃度PCB 助成金コールセンター
(JAPAN INDUSTRIAL WASTE MANAGEMENT FOUNDATION)
TEL:098-995-7100
受付時間 月~金 10 時~ 12 時/13 時~ 17 時(祝日年末年始を除く。)
ホームページはこちら>>


どこに相談すればいいか迷っている方や、そもそもPCBを含んでいるのかも分からないという方はこちらの相談窓口のページをご覧ください。


PCB廃棄物処理の相談窓口|どこに問い合わせればいい?手続きの流れを解説

分析費用はこれだけ安くなる|国助成金の算出例

助成金の算出例(国の制度のみ利用・上限10,000円)


対象機器3台の絶縁油採取及び分析を実施した場合
  • 高圧トランスA 税抜き価格 38,000円
  • 高圧コンデンサーB 税抜き価格 30,000円
  • リアクトルC 税抜き価格 8,500円


国の助成金を申請した場合


(STEP1)1台ごとの税抜価格に助成率を乗じます。
A 38,000円 × 1/2 = 19,000円
B 30,000円 × 1/2 = 15,000円
C 8,500円 × 1/2 = 4,250円


(STEP2)1台ごとの金額が上限の 10,000円 を超える場合は 10,000円 とします。
A 10,000円、B 10,000円、C 4,250円


(STEP3)合算します。
10,000 + 10,000 + 4,250 = 24,250円


(STEP4)端数を切り捨てた 24,200円が助成金額になります。


国のみ申請
合計費用 76,500円
助成金額合計 24,200円
自己負担額 52,300円


国の助成金制度を利用することで、費用負担を約24,200円削減できることがわかります。

処分費用はこれだけ安くなる|国助成金の算出例

分析してPCBが製品に含まれている場合、適正処理をしなければいけません。


①処分業者 ②収集運搬業者③油抜き取り業者(絶縁油を抜き取る場合)にそれぞれ見積もりを依頼して、話がまとまったら契約を締結します。


【処理経費】の助成概要


助成対象経費


微量PCB含有が確認された絶縁油・容器・電気機器の処理(運搬・処分)費用


助成金の額


助成対象経費の2分の1の額※1。


なお、「収集・運搬(積込み・積下しを含む)に要する経費」及び「漏えい防止措置に要する経費」の助成金は表3 に掲げる額を限度額とし、「処分に要する経費」の助成金は、表4 に掲げる標準処分単価により算出された額又は申請者が申請してきた額のいずれか低い方の額の2分の1の額を限度額とする。


※1 その額に100円未満の端数があるときはこれを切り捨てた額


収集・運搬(積込み・積下しを含む)
※低濃度PCB廃棄物が2以上ある場合は、その種類ごとの額を合計した額を助成限度額とする。

種類 限度額
低濃度PCB 汚染廃電気機器 192,500 円/台
小型機器・その他(ドラム缶) 75,000 円/缶
小型機器・その他(ペール缶) 73,500 円/缶


漏えい防止措置

※漏えい防止措置が必要な低濃度PCB廃棄物が2以上ある場合は、そのそれぞれに対し助成限度額を適用するものとする。


限度額 50,000 円/台・式


処分に要する経費
下記標準処分単価からの算出額と申請者が申請してきた額のいずれか低い方を助成対象経費とします。

低濃度 PCB 廃棄物の種類 標準処分単価
低濃度 PCB 含有電気機器 1,000(円/㎏)
低濃度 PCB 含有廃油 200(円/㎏)
その他汚染物 900(円/㎏)


詳しい情報はこちら>>


助成金がもらえるのは、大きく分けて以下の3つの費用です。


  1. PCBの油を抜く費用
    電気機器の中に入っているPCBの油を抜くための費用です。
  2. 機器を運ぶ費用
    PCBが入っていた機器を処分場に運ぶための費用です。ただし、機器を最初にトラックに乗せる費用や、途中で一度別の場所に置く費用などは含まれません。
  3. 機器を処分する費用
    PCBが入っていた機器を安全に処分するための費用です。


消費税と地方消費税は対象外です。


機器を運ぶ費用については、こういった部分も少し複雑です。


運搬費用についての記事はこちら


助成を受けるには注意点もあります。


当財団による交付決定通知書の発行前に実施された分析、収集・運搬および処分につきましては、助成金の交付対象外となりますのでご了承ください。


当財団が発行する交付決定通知書を受領後に、契約を締結してください。交付決定日前に契約締結した場合、助成金の交付はできません。


引用:Q&A「助成金の概要や手続きについて」③および⑨



助成金の算出例


ドラム缶1本に保管している微量PCB絶縁油200リットルをドラム缶ごと処理する場合


国の助成金制度(環境再生保全機構)では、PCB廃棄物の処理費用に対して上限額を設けて助成金が交付されます。


(STEP1)
収集運搬経費100,000+処分経費150,000=250,000


(STEP2)助成額✕1/2
合計250,000✕1/2=125,000


(STEP3)125,000円が助成金額になります


国のみに申請
合計費用 250,000円
助成金額合計125,000円
自己負担額 125,000円


国の助成金制度を利用することで、費用負担を約125,000円削減できることがわかります。

東京都の助成金と国の助成金は併用できる

東京都はこれまでも独自のPCB処理支援制度を行っていました。


国の助成金ができたことで、東京都の助成金制度も改定が行われました。


東京都PCB助成制度の「改定前」と「改定後」の違い


項目 改定前 改定後
助成対象 都内の微量PCB含有機器(変圧器・コンデンサ等) 同じ(対象は変わらず)
助成率 処理・分析費の50%(一律)

①国助成を利用する場合(国助成後の残額の50%を都が補助)
②国助成を利用しない場合(従来と同じく50%助成)

国制度との関係 国制度がなかった(または連携なし) 国制度(2025年4月〜)との併用を前提に改定された
助成金の計算方法 処理・分析費×50%(上限あり) 国助成後の自己負担額×50%(上限あり)
遡及適用 原則なし 令和7年6月1日以前でも、国の交付決定後に処理していれば遡及適用可能
申請の流れ 都への申請のみで完結 国と都の二段階申請が必要


国と都の助成金のスケジュールについてまとめた記事はこちら


公益財団法人 東京都環境公社公式サイトはこちら

分析費用はこれだけ安くなる|国&都助成金の算出例

助成金の算出例


国の助成金の上限は10,000円、都の助成金の上限は12,500円と少し違います。


対象機器3台の絶縁油採取及び分析を実施した場合
  • 高 圧 ト ラ ン ス A 税抜き価格 38,000円
  • 高圧コンデンサーB 税抜き価格 30,000円
  • リ ア ク ト ル C 税抜き価格 8,500円


① 都のみに助成申請をする者


(STEP1)1台ごとの税抜き価格に助成率を乗じます。
A 38,000円×1/2=19,000円
B 30,000円×1/2=15,000円
C 8,500円×1/2= 4,250円


(STEP2)1台ごとの金額が上限の12,500円以上となった場合は12,500円とします。
A12,500円、B12,500円、C4,250円


(STEP3)合算します。
12,500+12,500+ 4,250=29,250円


(STEP4)端数を切り捨てた29,200円が助成金額になります


② 都以外に国等が実施する同種の補助金の交付を受けた者


(STEP1)1 台ごとの税抜価格から、国等の同種の補助金の補助額を控除する。
A 38,000 円-10,000 円=28,000 円
B 30,000 円-10,000 円=20,000 円
C 8,500 円- 4,200 円= 4,300 円


(STEP2)STEP1 の金額に助成額を乗じます。
A 28,000円×1/2=14,000円
B 20,000円×1/2=10,000円
C 4,300円×1/2= 2,150円


(STEP3)1台ごとの金額が上限の12,500円以上となった場合は12,500円とします。
A12,500円、B 10,000円、C 2,150円


(STEP4)合算します。
12,500+10,000+2,150=24,650円


(STEP5)端数を切り捨てた24,600円が助成金額になります。



※算出例はすべてこちらのPDFから引用しております(公益財団法人 東京都環境公社:東京都微量PCB廃棄物処理支援事業 助成金交付申請の手引き(分析経費)PDF


都のみに申請
合計費用 76,500円
助成金額合計 29,200円
自己負担額 47,300円


国+都に申請
合計費用 76,500円
助成金額合計 24,600円(都) + 24,200円(国) = 48,800円
自己負担額 27,700円


国+都に申請した方が自己負担が19,600円も少なくなるという事がわかります

処分費用はこれだけ安くなる①|国&都助成金の算出例

助成金の算出例


ドラム缶1本に保管している微量PCB絶縁油200リットルをドラム缶ごと処理する場合


① 都のみに助成申請をする者


(STEP1)
収集運搬経費100,000+処分経費150,000=250,000


(STEP2)助成額✕1/2
合計250,000✕1/2=125,000


(STEP3)125,000円が助成金額になります


② 都以外に国等が実施する同種の補助金の交付を受けた者


(STEP1)
収集運搬経費100,000+処分経費150,000=250,000


(STEP2)助成額✕1/2【国の助成金】
合計250,000✕1/2=125,000


(STEP3)助成額✕1/2【都の助成金】
合計125,000✕1/2=62,500


(STEP4)62,500円が助成金額になります


都のみに申請
合計費用 250,000円
助成金額合計125,000円
自己負担額 125,000円


国+都に申請
合計費用 250,000円
助成金額合計 125,000円(国) + 62,500円(国) = 62,500円
自己負担額 62,500円


国+都に申請した方が自己負担が62,500円も少なくなるという事がわかります


※算出例はすべてこちらのPDFから引用しております(公益財団法人 東京都環境公社:東京都微量PCB廃棄物処理支援事業 助成金交付申請の手引き(処理経費)PDF

処分費用はこれだけ安くなる②|国&都助成金の算出例

助成金の算出例


微量PCB絶縁油が封入されたトランス(30kVA)1台を処理する場合


① 都のみに助成申請をする者


(STEP1)
収集運搬経費200,000+処分経費350,000=550,000


(STEP2)助成額✕1/2
合計550,000✕1/2=275,000


(STEP3)助成額が限度額を超過しているため、助成額は(c)×1/2の275,000円ではなく、限度額である250,000円となる


② 都以外に国等が実施する同種の補助金の交付を受けた者


(STEP1)
収集運搬経費200,000+処分経費350,000=550,000


(STEP2)助成額✕1/2【国の助成金】
合計550,000✕1/2=275,000


(STEP3)助成額✕1/2【都の助成金】
合計275,000✕1/2=137,500


(STEP4)137,500円が助成金額になります


都のみに申請
合計費用 550,000円
助成金額合計 275,000円⇒限度額250,000円
自己負担額 300,000円


国+都に申請
合計費用 550,000円
助成金額合計 275,000円(国) + 137,500円(都) = 412,500円
自己負担額 137,500円


国+都に申請した方が自己負担が162,500円も少なくなるという事がわかります


※算出例はすべてこちらのPDFから引用しております(公益財団法人 東京都環境公社:東京都微量PCB廃棄物処理支援事業 助成金交付申請の手引き(処理経費)PDF

国と都の両方を活用するメリット・デメリット

国と都の両方を活用するメリット


  1. 自己負担額が最も小さくなる可能性がある
  2. 都の助成は国からの補助後の“残り”にも使える
  3. 機器数が多い場合、効果がさらに大きくなる
  4. 都の上限12,500円に収まらない機器も、国と合わせると有利


国と都の両方を活用するデメリット


  1. 国・都それぞれに申請が必要(添付書類・スケジュール管理)
  2. タイミング調整が必要
  3. 書類が煩雑になる可能性


東京都以外の方はこちらの記事をどうぞ
各都道府県のPCB廃棄物の処理と助成金まとめ【2025年最新】

まとめ

処理費用の負担を抑えたい方は、必ず国の助成も併用するのがおすすめです。


手続きなどの時間がない場合や、実際に自分のケースだといくらかかるか知りたいようでしたら、ぜひ、弊社にご相談ください。


政府が定めている処理期限ギリギリになってから動き始めるより、まずは一度お見積を取ってみて、その時のために備えてみてはいかがでしょうか?お見積は無料で引き受けておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。


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